500mを早く滑るコツはピッチにある?ISU World Cup を見てフカボリしてみた。

レースのフカボリ
著作者:viarprodesign/出典:Freepik

2022年11月に開催されたISU World Cup 2022/23 – Salt Lake City (USA)でオランダのXandra VELZEBOER選手が驚異的なタイムで女子500mを制していたので、何が違うかをフカボってみた。

ラップタイムの比較

まずはラップタイムの確認です。Xandra VELZEBOER選手、日本代表の女子選手、男子選手を確認してみます。

Xandra VELZEBOER選手のラップタイム

genderDistanceRoundHeat NoNameStart2nd laps3rd laps4th laps5th lapsResults
Women500 m (1)Heats1Xandra VELZEBOER7.149.018.548.718.9642.360
Women500 m (2)Heats3Xandra VELZEBOER7.098.898.328.428.6941.416
Women500 m (1)Quarterfinals4Xandra VELZEBOER7.069.088.428.558.8341.941
Women500 m (1)Semifinals2Xandra VELZEBOER7.29.099.519.088.86PEN
Women500 m (2)Quarterfinals4Xandra VELZEBOER7.199.028.498.668.9342.295
Women500 m (2)Semifinals2Xandra VELZEBOER7.18.938.378.568.8941.851
Women500 m (2)Finals1Xandra VELZEBOER7.128.898.358.498.7541.602
ISU World Cup 2022/23 – Salt Lake City (USA) Resultページより

500m(2)heats で出した41.416はこの時点の世界記録でした。
2021/22シーズンまでのXandra VELZEBOER選手の記録は2022年の北京オリンピックの予選で出した42.563が最速のタイムだと思います。1年足らずでトップクラスの選手が1秒以上タイムを縮めています。

日本チーム女子選手のラップタイム

genderDistanceRoundHeat NoNameStart2nd laps3rd laps4th laps5th lapsResults
Women500 m (2)Heats1KIKUCHI Moemi7.379.48.688.799.0443.281
Women500 m (1)Quarterfinals4WATANABE Aoi7.89.378.899.1344.109
Women500 m (2)Quarterfinals1TAKAHASHI Hana7.799.38.79.089.3944.263
Women500 m (1)Heats3HIRAI Ami7.79.438.899.019.3444.372
Women500 m (1)Rep. Semifinals2HIRAI Ami7.639.658.869.019.3644.515
Women500 m (1)Heats1WATANABE Aoi7.839.458.928.999.3444.533
Women500 m (2)Heats5TAKAHASHI Hana7.799.388.859.039.5244.575
Women500 m (2)Quarterfinals4KIKUCHI Moemi7.419.238.8228.3111.5901:05.369
ISU World Cup 2022/23 – Salt Lake City (USA) Resultページより

Xandra VELZEBOER選手と比べると約2秒~3秒(距離で換算すると約20m)のタイム差があります。1秒当たりにすると、0.5~0.7mの差となります。

日本チーム男子選手のラップタイム

genderDistanceRoundHeat NoNameStart2nd laps3rd laps4th laps5th lapsResults
Men500 m (1)Preliminaries2MIYATA Shogo6.828.938.58.688.6441.571
Men500 m (1)Preliminaries4SHIGEHIRO Kiichi7.098.798.548.598.841.819
Men500 m (1)Heats4SHIGEHIRO Kiichi7.178.858.348.458.7341.548
Men500 m (1)Heats5MIYATA Shogo6.868.78.398.398.6240.968
Men500 m (2)Heats6IWASA Dan7.549.178.678.718.9443.035
Men500 m (2)Heats9YOSHINAGA Kazuki7.188.838.238.78.741.647
Men500 m (1)Rep. Quarterfinals5SHIGEHIRO KiichiPEN
Men500 m (1)Quarterfinals4MIYATA Shogo6.738.718.318.288.4940.528
Men500 m (1)Semifinals1MIYATA Shogo6.738.688.348.298.5140.559
Men500 m (1)Finals1MIYATA Shogo6.888.878.658.978.7442.112
Men500 m (2)Rep. Quarterfinals5IWASA Dan7.199.018.548.588.7542.079
Men500 m (2)Rep. Semifinals1IWASA Dan7.188.958.358.518.7241.718
Men500 m (2)Quarterfinals2YOSHINAGA Kazuki7.368.678.159.125.0558.339
ISU World Cup 2022/23 – Salt Lake City (USA) Resultページより

Xandra VELZEBOER選手にタイムで上回った日本の男子選手は宮田省吾選手だけという結果に。ISU World Cup 2022/23 – Salt Lake City (USA)の男女500mで41.416というタイムは422レース中132番目の記録です。

※ちなみに宮田省吾選手の40.528は30番目の記録です。
 一番早かったのはDenis NIKISHA選手(KAZ)が500m(2)のSemifinals 1で出した39.851が最速タイムでした。

500mの歩数について(ここからがフカボリ)

今回取り上げるのは500 m (2) A決勝のレースです。500 m (2) Finals 1(A決勝)のレースについて出場選手のタイムと歩数を比較しています。

500 m (2) A決勝のyoutube動画

Day 3 | Salt Lake City 2022 | #ShortTrackSkating
To license ISU footage: to our channel: us on Facebook:

500 m (2) A決勝のラップタイム

NameISU MemberStart2nd laps3rd laps4th laps5th lapsResults
Xandra VELZEBOERNED7.128.898.358.498.7541.602
CHOI MinjeongKOR7.659.158.348.518.7342.384
Rikki DOAKCAN7.4798.428.579.0142.478
Danae BLAISCAN7.569.098.48.478.9642.486
Natalia MALISZEWSKAPOL7.379.99no time
ISU World Cup 2022/23 – Salt Lake City (USA) Resultページより

ラップタイムだけ見ると優勝したXandra VELZEBOER選手(NED)と2位になったCHOI Minjeong(KOR)の3周目以降にほとんど差がない事がわかります。

スタートと初めのコーナーの歩数

A決勝出場選手のスタートの歩数

NameISU MemberStartCornerLap time
Xandra VELZEBOERNED7127.12
CHOI MinjeongKOR887.65
Rikki DOAKCAN7107.47
Danae BLAISCAN7127.56
Natalia MALISZEWSKAPOL7127.37

Xandra VELZEBOER選手とCHOI Minjeong選手を比較するとスタートから半周の歩数に3歩の差があります。Xandra VELZEBOER選手は1歩あたり約0.37秒、CHOI Minjeong選手は0.47秒要していることになります。その差が半周で0.53秒、距離にすると約4mという差を生んでいると考えられます。

はじめの半周を先頭で通過したXandra VELZEBOER選手と2番手で通過したNatalia MALISZEWSKA選手の歩数は同じです。Xandra VELZEBOER選手は7.12秒、Natalia MALISZEWSKA選手は7.37秒で19歩いれている事になります。

スタートではいかに早く足を入れるかが一つのキーになりそうです。

日本選手のスタートの歩数

DistanceRoundHeat NoNameStartCNRlap:01
500 m (2)Heats1KIKUCHI Moemi8147.37
500 m (2)Quarterfinals4KIKUCHI Moemi8127.41
500 m (1)Rep. Semifinals2HIRAI Ami8127.63
500 m (1)Heats3HIRAI Ami8147.7
500 m (2)Heats5TAKAHASHI Hana8147.79
500 m (2)Quarterfinals1TAKAHASHI Hana8147.79
500 m (1)Quarterfinals4WATANABE Aoi8107.8
500 m (1)Heats1WATANABE Aoi8127.83

日本の女子選手のスタートから半周の歩数はA決勝に出場した5名の選手より多い傾向にある事がわかります。日本選手で一番半周の早かった菊池選手は1歩あたり0.33秒でXandra VELZEBOER選手の約0.37秒より早い回転数で足を動かしていることが分かります。平井選手の予選、高橋選手の2レースについてもXandra VELZEBOER選手の回転数を上回っています。

1歩当りの距離を考えてみると原因がわかります。一番多かったスタート8歩、コーナー14歩の計22歩で半周を滑走した場合、1歩当りの滑走距離は約2.5mです。A決勝で滑った中で一番一歩が短かった選手はXandra VELZEBOER選手を含む19歩で滑った3名の選手で滑走距離は約2.9mです。

スタートではピッチ×ストライドで早さが決まることになります。

どうしたら良いかについては、改めて記載しようと思います。

2ndラップの歩数

A決勝出場選手の2周目の歩数

NameISU MemberHomestretch1st to 2ndCornerBackstretch3rd to 4thCornerLap time
Xandra VELZEBOERNED410288.89
CHOI MinjeongKOR410269.15
Rikki DOAKCAN410289.00
Danae BLAISCAN310289.09
Natalia MALISZEWSKAPOL210269.99

2周目のラップタイムをみつると、歩数がラップタイムに影響しているように見えます。歩数の多い順にタイムが早くなっています。
※Natalia MALISZEWSKA選手は転倒によりタイムが遅くなっています。

日本選手の2周目の歩数

DistanceRoundHeat NoNameISU MemberHomestretch1st to 2ndCornerBackstretch3rd to 4thCornerLap time
500 m (2)Quarterfinals4KIKUCHI MoemiJPN410289.23
500 m (2)Quarterfinals1TAKAHASHI HanaJPN212289.30
500 m (1)Quarterfinals4WATANABE AoiJPN410269.37
500 m (2)Heats5TAKAHASHI HanaJPN4102109.38
500 m (2)Heats1KIKUCHI MoemiJPN410289.40
500 m (1)Heats3HIRAI AmiJPN212289.43
500 m (1)Heats1WATANABE AoiJPN210269.45
500 m (1)Rep. Semifinals2HIRAI AmiJPN410269.65

歩数だけみると、A決勝に出場した選手とほぼ変わらないことがわかります。しかしながらタイムでは0.2秒ほど後れを取っています。

Xandra VELZEBOER選手は1歩当り0.37秒、菊池選手の準々決勝はは0.38秒、菊池選手と平井選手の予選は0.39秒となっており、1歩当りの時間で0.01~0.02秒ほど時間を要している事がわかります。

力を変えずに一歩あたりの動きを早くするかが、早く滑るポイントになりそうです。

3rdラップの歩数

NameISU MemberHomestretch1st to 2ndCornerBackstretch3rd to 4thCornerLap time
Xandra VELZEBOERNED26268.35
CHOI MinjeongKOR26268.34
Rikki DOAKCAN26268.42
Danae BLAISCAN26268.40
Natalia MALISZEWSKAPOL

3周目はどの選手も歩数に差がありませんでした。
※日本の選手については、3周目以降の歩数を確認することができないことが多く、以降割愛しています。

4rdラップの歩数

NameISU MemberHomestretch1st to 2ndCornerbackstretch3rd to 4thCornerLap time
Xandra VELZEBOERNED26268.49
CHOI MinjeongKOR28268.51
Rikki DOAKCAN26268.57
Danae BLAISCAN26268.47
Natalia MALISZEWSKAPOL

4周目もCHOI Minjeong選手の1-2コーナーで8歩を記録した以外は歩数に差はありません。
CHOI Minjeong選手はコーナーの入口で2クロスしたため、8歩になりました。

CHOI Minjeong選手のプラス2歩については別途記載したいと思います。

5rdラップの歩数

NameISU MemberHomestretch1st to 2ndCornerbackstretch3rd to 4thCornerFinishLap time
Xandra VELZEBOERNED262418.75
CHOI MinjeongKOR244418.73
Rikki DOAKCAN262419.01
Danae BLAISCAN262418.96
Natalia MALISZEWSKAPOL

5周目はすべての選手が最終コーナーで4歩になりました。
CHOI Minjeong選手が1-2コーナーで4歩、backstretchで4歩になったのは、前の選手をインから追い抜いたためです。

500mでは前半に歩数を多く入れ、残り3周はほとんどの選手が同じ歩数となっています。
500mの滑走フェーズの理解が必要になります。

500mの滑走フェーズにつついても別途きさいします。

まとめ

500mのスタートではストライド×ピッチがタイムに影響します。自身の歩数を確認して足りない方を強化してみてはいかがでしょうか。

また、2周目では歩数を早く入れる事が求められます。練習からピッチを上げた練習を行う事が重要になります。

次回以降、もっと500mをフカボリしていきます。


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